2011年8月24日水曜日

iHome iHM63レビュー

iPodやiPad用に持ち運び可能な小型の外部スピーカーが欲しいと思っていましたが、 appleストアで買い物する機会があった時に見つけてついでに注文してみました。 購入したのはSDI Technologies社のiHome iHM63という製品。バッテリーを内蔵していて 出先でも使えるという触れ込みです。

ブリスターパッケージに入っていましたが、開封すると本体の軽さに少々驚き。 スピーカーとiPod等との接続は片側が2股に別れたUSBケーブルで行います。 本体側にはUSBマイクロBという最近はスマートフォンでよく使われている形状の端子と 繋ぎ、反対側が通常のUSBオスとピンジャックに分岐しています。USBオスは充電に使います。 ケーブルは長さも80cmあって弾力性のあるなかなか良い素材で作られています。 スピーカーの背面には、USBマイクロ端子とピンジャック、それからON/OFFスイッチがあるのみ。 ピンジャックには同じスピーカーをもう一台接続することでステレオで使用できるようになるようです。

本体のUSBマイクロ端子にケーブルを接続して、反対側のUSB端子をPCなどに接続すると 充電が始まって本体全部下側にあるLEDが赤く点灯します。USBでPCと接続しても PCのデバイスには何も表示されないのでUSB接続は純粋に充電のみみたいです。

さて、肝心の音のほうはというと、小音量で鳴らす分にはまぁまぁという気がしました。 大きさの割に低音が出ている感じです。ただ決して音が良いという訳ではないです。悪くもなく 良くもなくでしょうか。音楽向けというよりラジオを聞いたり、語学番組みたいのを聞いたりするのに 向いてるのかも。 気になったのは、音を少し大きくすると(スピーカ本体では音量調節できないのでiPodで行う) 音が割れる点です。これはiPodのアンプの性能だと思われるのですが、聞くに堪えない程の 音割れが発生します。この点がとても残念。 値段も安いし(2480円でした)、軽くて持ち運びも便利なので欠点がわかっていて買うなら 良いかもしれないです。見た感じとか品質は良いと思います。

久々に余震の解析をしました

最近またまた余震、それも福島ー茨城ー千葉の連動型が増えている模様。そんな訳で、3月の地震から半年近くたった今、余震の統計から何が言えるのか、気象庁の公開しているデータを元に解析してみました。

まず、横軸にマグニチュード、縦軸にその回数(頻度)をプロットしたもの。両軸とも対数表示です。

長時間の統計を取ると、余震に関してはべき型の分布になることがわかっているので、本来ならマグニチュードの低い方から大きい方に向かって直線の分布になるはず。今回の地震の最大マグニチュードが9.0であるので、このグラフから明らかにマグニチュード8近辺の余震がまだまだ少ない、つまり今後起こりうることがわかります。

マグニチュードの大きな(5以上)部分に関して、見やすいように棒グラフかつ対数ではないグラフでプロットするとマグニチュード8あたりの余震がまだ起きていないことがはっきりわかります。

さてさて、ここで問題です。3月の地震を見ると、3/11の14時46分に起きたM9.0の地震は牡鹿半島から130km沖合であったのでマグニチュードの割には最大震度が少なかったのだと思います(それでも震度7を記録しましたが)。その後に茨城沖で起きたM7.7の余震は割と近かったので、震度6強ありました。本震がM9.0で震度7は栗原市のみでしたが、M7.7というエネルギーでいうとおよそ1/100ほどにもかかわらず、本震に近い震度になったのだと思われます(マグニチュードが1.0変わると約30倍エネルギー差がある)。つまり、これから起こりうるM8.0クラスの余震も、その場所によっては壊滅的な被害を起こしうる、ということを頭に置いておいた方が良さそうです。

で、その規模の余震の起きる場所は予測可能かどうか?答えはNOです。予測できないです。しかし、地震の時系列データを解析した結果からは、かなりの高確率で大きな地震は連動して起きる傾向があることがわかりました。とりあえず大きな余震が起きたら、半日から24時間位は気をつけるべきかと。

さて、投資家としてどうすべきかここで考えてみたいと思います。3月の地震が起きたのは取引所のクローズ間際、しかも週末だったので、翌週の月曜におよそ1000円近く日経平均が下がりました。土日に原発の爆発もあったので、地震だけが要因ではないでしょうけど、さらに翌日の火曜日には最大で1400円近く下がりました。つまりM8.0クラスの地震それも直下型とかだった場合、瞬間的に1000円は落下する事を覚悟しておいた方が良さそうです。現在は欧米がリセッション入りか?と言われるほどセンチメントも悪化しているので、パニック相場が引き起こされる可能性も高いと思います。

ということで、ヘッジをかけるなら日経平均のショートを軽く作るべきかもしれないですね。

2011年8月4日木曜日

Finis SWIMSENSE ファームアップしました

1.0.1.8B2にアップデートしてみました。 さて、何が変化したかはまた今度。 バッテリーですけど、ファーム1.0.1.6で
非スイムモード 150+hours
スイムモード 12+hours
と大幅に増加していたので、3-4日で減るのはおかしい?と 思っていましたが、チャージ台に嵌めたままで放置した時に 放電した、かつ充電が満充電ではなかった、為かなと思われます。 まぁもっと使っていればいろいろわかることもあるでしょう。

2011年8月3日水曜日

Swimsenseの欠点?

使用可能時間が少ないと思っていましたが、7/28に使って少し充電したのですけど、5日後にはほぼ電池が無くなっていました。ファームウェアのアップデートで改善されるかもしれないけど。

2011年7月29日金曜日

FINIS SWIMSENSE フィニス スイムセンス その3

一応注意ですが、これまでの内容も含めて、ソフトのバージョンアップやファームアップで変更される可能性があることをご注意下さい。あと書いている内容が正確とは限りませんので、この内容通りにオペレーションを行ってなにか不具合が生じても責任は取れませんので、自己責任で。きちんとマニュアルを読んでから使いましょう。

さて、前回まででPCで使う連携ソフトウェアのレビューをしましたが、今回は主に本体のみでどんな事ができるのか?をレビューしてみます。ちなみにswimsenseですが、着けて泳いでも全く違和感ありません。昔Gショックを着けて海で泳いで、とっても腕が重かった(時計が抵抗になって)のを覚えていたので、少しは抵抗あるかな?なんて思ってましたが、全然気にならない、というか違和感ないです。開発の時にかなりこの点には気をつけたのではないのでしょうか?素晴らしいです。

さて、swimsenseは電池のもちが今ひとつなので(これも最新ファームでは長くなっているみたいだけど)、使わないときにはスイッチオフにしていると思います。腕につけた状態がこんな感じ。

ここで左上のボタンを押すと下のような時計の画面になります。

この画面がオペレーションのスタート画面といった感じ。右側のボタンを押すと(上か下)、次のようにモードが変わります。順番はこの通りとは限りませんが、まず泳ぐ時に使うSWIMモード
で、ストップウォッチになるモード。
それから、過去のデータが見れるHistoryモード
本体の設定をするConfigモード
電源をオフにするモード
本体に記録されたデータを削除するモード
さて、ここでSWIMモードを選択します。モードの選択は左上のボタンを押します。
この状態で、右上のSWIMというボタンを押すとトレーニング開始で記録が始まります。泳ぎ始めに押すと良いでしょう。トレーニング中は右上ボタンでPAUSE、右下ボタンでSTOPです。それぞれの意味は初回のレビューの通り。この表示の時、左上のボタンを押すことで、様々な表示モードに変えることができます。様々といっても中央のでかい表示はトレーニングのトータル時間(レスト含む)です。自分的には泳いだ距離とかLAPタイムとかを大きく表示して欲しかったですが、自分のバージョンのファームウェアでは無いようです。ファームアップデートが可能なので、こういうのも将来どんどん改善される可能性もありますね。

さてさて、練習が終わって今日のデータを見てみるか、という場合について。その場合、Historyモードを選択します。選択するとWorkout #(#は数字)という具合に本体に記録されたworkoutを右上下ボタンで選択できますので、見たい記録をこれで選びます。ちなみに本体には全部で14本のworkoutが記録できるようです。14本になったら古いやつを上書きしていくそうです。さてさてここでWorkout2を選択します。選択すると次のようなデータを閲覧できます。
まず、トータルの練習時間とそのうちのレストタイム。

次に泳いだ総距離とLAP数(往復の回数)
そして、平均ストローク数と100mの平均タイム、それから総消費カロリー数。
で、同じようなデータを4泳法ごとに見ることができます。見れるのは4泳法毎のトータルの泳いだ時間、距離と平均ストローク数です。下のモードで左上ボタンを押してセレクト。
で、実際の表示はこんな感じ。右上下ボタンでデータの種類を変えることができます。
つぎにインターバル毎のデータを閲覧できます。
自分は5本(5セット)泳いだので、それぞれについて泳いだ総時間、平均ストローク数、100m毎の平均ラップタイム、消費カロリー、泳いだ総距離と消費カロリーが表示されます。これもすばらしい。
使ってみてわかりましたが、これは想像以上に使える感じ。あとは心拍数も一緒に記録できたらもはや最強、これだけで後はいらない状態でしょう。データを蓄積してトレーニングするのが好きな自分のような人間にはたまらないアイテムです。お勧めです。

2011年7月28日木曜日

FINIS SWIMSENSE フィニス スイムセンス その2

前回はざっとレビューしたのですが、だんだんシステムがわかってきたのでここで整理してみます。まず、ソフトですがswimsense bridgeというadobe AIRのソフトが必要です。先日のレビューの後にLinuxでもひょっとしたら動くのでは?と思い、AIRをLinuxマシンにインストールしたらswimsense bridgeもLinuxマシンにインストールできて、しかもデータの取り込み、アップロードもOKでした。すばらしい。

さて、このbridgeは基本的にswimsense本体のマネジメントを行う為のツールです。できる操作は、swimsense.comへのデータのアップロード、swimsense本体のファームウェアの更新や設定のみです。

uploadしたworkout一覧の下にあるUPLOADED WORKOUTSというリンクをクリックすると、ブラウザでswimsense.comが立ち上がり、データの詳細な閲覧などはそこで行います。

右下の方に1600 meters - Japanという表示がありますが、これが今回自分がアップロードしたデータです。いろいろな国の人がデータをアップロードしていて、少し連帯感っていうか楽しい感じがします。この画面の右上のLOGINを押して自分のアカウントへログインします。bridgeで一度ログインしているのだから、ここはログイン画面は飛ばして即自分のアカウントの画面を表示して欲しい気もするけど。で、swimsense.comの自分のアカウントへログインすることで、様々なデータの詳細を見ることができます。つまり今流行のクラウドっていうのでしょうか?webベースのアプリケーションになっています。下が今回のいわしのワークアウトになります。トータルで3000m泳いだのですが、測定したのは600mのロング2本の前にアップで軽く流した2本と、ダウンで最後に泳いだ1本の合計4セットです。

全部Fr.で泳いだのですが、なぜか500m位Ba.としてカウントされてました。これはswimsense本体のつけ方の問題かも。上にある時系列図の具体的なセットをクリックすると下にその泳ぎの詳細なデータが表示されます。自分のデータは4セット目のFr. 600mのデータです。Lapが24lap(折り返しで1lapとカウントするみたいだ)、ストローク数は左右で1カウントするみたいです。Stroke Count Over Timeっていうのを見ると、泳いだ距離ごとのストローク数の変化が見れますが、自分の場合後半になってものの見事にストローク数が増えています(ただ、途中11回とかあるけど、これは水中でswimsenseを確認した為だと思う。10回というのも9.5とかじゃないだろうか?)。SWOLFスコアは前回よりも低くなった。ロングで泳いだせいもあると思うし、今回はFr.オンリーで泳いだ為だろう。

swimsenseをPCに接続すると、中の生データが見れるので、そのうちWebベースじゃなくて単独のアプリも作成されるんじゃないだろうか?iPhoneやiPad向けのアプリなんかも簡単に作れそうです。dropbox辺りにデータを置いておくとiPadで見れるようなアプリがあると便利かも。ないなら自分が作ろうかな?なんて。時間があればですけど。

さて、長くなったのでPCを使ったデータ閲覧に関してはここまでにして、次は本体のみでどの程度データを見る事ができるのかをレビューしたいと思います。 一応注意ですが、これまでの内容も含めて、ソフトのバージョンアップやファームアップで変更される可能性があることをご注意下さい。あと書いている内容が正確とは限りませんので、この内容通りにオペレーションを行ってなにか不具合が生じても責任は取れませんので、自己責任で。

2011年7月26日火曜日

FINIS Swimsense フィニス スイムセンスのレビュー

久々のガジェットレビュー。

たまに走ったりする時にはラン用の時計でデータが取れるのですが、水泳の記録って難しいと思っていました。
それに一人で延々長距離を泳いだりすると、ラップ数を忘れて途中でいくつ泳いだのかわからなくなったりします。
ずっとスイムのデータが取れれば良いなぁ、と考えていましたがどうやらラップを自動でカウントできる
ウォッチタイプのデータロガーが2種類あることを最近知りました。
1つ目はsportcount社のPool-Mate Proです。2つ目が
今回紹介するFINISのSwimsenseです。
Pool-Mateには本体のみでデータを記録できるバージョンもありますが、このどちらもコンピュータにつないでデータを蓄積できます。これらのレビューと比較はDC Rainmakerさんのページで詳しくレビューされていますが、電池の持ち時間がpool-mateは普通の腕時計程度(1年位)でswimsenseは8-16時間程度である事と、swimsenseは泳ぎの種類を判別できる事(自由形、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライ)と、時間や距離ごとのストローク数をカウント可能なこと(pool-mateはトータルでいくつ、だけのようです)。PC用のアプリケーションもpool-mateは専用ソフトですが、swimsenseはadobe AIRを使ったソフトとWebアップロードという形式(アカウントを作成しないといけない)です。pool-mateの大きさと電池の持ちには惹かれましたが、自分的にはどうしてもストロークカウントは外せないので、swimsenseを購入しました。
さて、先日トータルで2000m泳いだので、今回簡単にレビューしてみます。
まず外箱、内箱、本体です。

箱も本体の収納も貴重品といった感じで丁寧な感じ。多分に演出なんだと思うけど、こういう「良いものを手に入れた感」って買い物において重要かもしれない。実質的な不備はないけど、ビニール袋に包まれて無造作に箱に入っていたりすると、貴重なものを購入した、という感覚が薄いかも。

さて、本体ですが思ったより薄いです。裏側には黄色の滑り止めっぽいプリントがあります。とっても軽いし、腕につけても大きさは全然気になりませんでした。腕にはめると腕の幅より大きくないので引っ掛けたりぶつけたりといった心配もあまりなさそうです。

で、次がswimsense本体を置いてPCと接続するためのドックです。

ドックですが、一応上下の向きはあるようです。

さて、このアイテムですがiPodなどと同じでまずはPCに接続しないとはじまらない感じです(実は単体ではスイッチの入れ方すらわからなかったのでスイッチを入れていないので、ひょっとしたら本体のみでもOKかも)、PCとUSBで接続してswimsense.comに接続してアカウントを作成します。アカウントのページにログインするとswimsense bridgeというAIRアプリケーションのインストールが可能になります。また本体ファームウェアのアップデートもこのソフト経由で可能です。finisのblogを見ると結構アップデートしている模様。ちなみに現在は1.0.1.8のベータが最新ですが、1.0.1.7は不具合があるようなので、ベータを使わない場合は1.0.1.7以下で使用して下さいとのこと。

使い方ですが割と簡単で、本体の4隅にボタンがそれぞれありますが、左上が選択/電源ON、左下がEXIT、右は上と下で項目の選択に使います。一番最初に個人データなどの設定が必要です。右ボタン上下でconfigを選択して、プールのサイズ(25mとか50mとか)、時計をはめる腕(右か左)、性別、年齢、体重、時間の表示方法(12H/24H)、時計合わせ、などをします。

実際に使う時は、電源を入れて右のボタン上下でSWIMモードを選択し左上でセレクト、あとは練習中に使うのは右上のボタンがPAUSEで右下がSTOPです。説明書を見ると、PAUSEはインターバルの時に押す、STOPは練習終了か長時間のレストの際に押す、という感じ。STOPを押してもデータをアップロードしたときには分割などされないのであまり気にしないで良さそうです。泳ぎ始めるときには右上のボタンを押してSTARTします。

bridgeを使ってswimsense.comに自分のデータをアップロードするのですが(公開/非公開の設定可)、アップロードした後のswimsense.comの自分のページがこんな感じ。

単一の日、週間、月間、全て、の単位で記録を見ることができます。右にある横棒のグラフはそれぞれの泳ぎ毎の距離です(表示では週間になっていますが、まだ1日だけの記録です)。
ちなみにこの日はバタフライもやりましたが、見事にフリーとして記録されていました。
狭いプールですれ違いに気をつけて泳いだせいなのか、自分が下手くそのせいかわかりませんけど。
で、具体的なデータの中身が以下のような感じで見ることができます。


一番上のグラフが横軸が練習時間でバーがそれぞれ色分けされた4種目の泳ぎ(距離と時間)、あとはペースやストローク数(設定したプールの長さが単位みたい。かつ左右で1ストローク)、時間経過でのストローク数変化とSWOLFという水泳の効率に関するスコアです。SWOLFっていうのは初めて知りましたが、単位距離あたりのストローク数と同じく単位距離あたりのタイムの合計です。これはなかなか面白い。通常だと、スピードを上げるとストローク数が増えます。逆にストローク数を減らすとタイムが大きくなります。したがってWOLFスコアが低ければ低いほど効率よい泳ぎが出来ているということです。数字を見ると、ストローク数とタイムの合計のようですが。自分は38-39位ですが、これはどの程度のものなのかちょっと知りたいですね~。ちなみにトータル2000m泳ぎましたが、ドリルやキック練習の時はSTOPにしていたので、記録されたのは1500mだけでした。距離に関してはまったく正確です。

とりあえず一度使っただけですが、記録好きの自分にはかなり良さ気なアイテムです。

2011年4月12日火曜日

今後の余震に関する解析

東日本大震災から一ヶ月が過ぎたが、ここに来て最大の余震なども発生し、まだまだ緊張を強いられるということを実感させられる今日この頃だが、果たしてこの余震は今後どのように推移するのだろう?
以前、当ブログにて地震の数理的なモデルに関して記述しましたが、その中に書いてあります「グーテンベルグリヒター則」と「大森の公式」で簡単に解析をする事ができます。それぞれの説明はそれを読んでもらうことにして、今回は気象庁のホームページから震度1以上を観測した地震に関するデータを取り出して、それを使って解析してみようと思います。以下、厳密にはおかしな所もあると思いますが、おおざっぱな傾向が分かればよい、位のものですのでご容赦を。

さて、今回使ったデータは気象庁の発表した速報データで、3月11日14時46分のマグニチュード9.0の地震から、4月12日午前4時43分のマグニチュード4.2のものまでです。このデータには余震ではないと思われる、九州や沖縄、関西などのデータも含まれていますが、手作業でそれらを除きました。

このデータから地震のマグニチュードごとの頻度(起きた地震の回数)をプロットしたのが下の図です。

赤い線が今回作成したデータで、緑の線は気象庁が報道発表資料で公開した余震の頻度(M7.0以上が3回、M6.0以上が66回、M5.0以上が394回)をプロットしたものです。これを見ると自分が作成したデータは数が少ないのがわかります。そこで今回はこの気象庁発表の余震データをグーテンベルグリヒター則の対数式でフィットしてみました。それが下の図です。
緑色の棒グラフがグーテンベルグリヒター則から導出される地震のマグニチュードの頻度分布の関数です。横軸が地震のマグニチュード、縦軸が起きた回数です。今回はM5付近とM9でフィットするような関数を用いました。このグラフのM7〜M8付近を拡大したのが下の図です。

このグラフを見ると、M7.0辺りやM8.0辺りの頻度がグーテンベルグリヒター則から予想される回数に比べ、はるかに少ない事がわかります。グーテンベルグリヒター則は長時間経った時の統計分布ですので、まだM7.0やM8.0程度の余震の回数が足りない、つまり今度引き起こされる可能性が高い事を示していると考えられます。さて、それではこの余震は今後どのように起きるのかという予想をしてみましょう。今度は地震の余震に関する大森の公式を用います。これも以前説明しましたが、大きな地震が起きてからの経過日数と単位時間あたりの余震の回数を記述する式です。3/11からに経過日数でそれぞれの日毎の余震回数をプロットしてみると以下のようになります。

赤い棒グラフが実際のデータから作成した経過時間ごとの余震の回数で、横軸が3/11日からの経過日数、縦軸が余震の回数です。30日辺りの余震の回数が増加していますが、これは宮城沖と福島浜通りで大きな余震が起きたため、その余震の余震が生じたので全体的に観測された地震の数(震度1以上)が増えた為です。実際は観測にかからない余震もたくさん生じていると思われるので、精度の良いデータを使えばこの凸凹もなだらかになると思われます。また今回は自分の作成したデータと気象庁が公開した余震の回数のデータを比較したところ、データの数が実際のデータの半分ほどしかないことがわかったので、大森の公式でデータをフィットする際にそれぞれ頻度を2倍にして計算しました。このデータから導出された大森の公式は、おおざっぱに書くと、400/(t-1)になります(tは初日からの経過日数)。この式からわかるのは、今回M9.0を起点とする余震の回数が一日あたり1回以下になるにはおよそ400日必要ということです。現在30日ほど経過したので、あと1年ほどは毎日余震が続くと考えても良いことになります。

以上から今後の余震活動について推論すると、余震はあと1年ほど続き、M7-M8クラスの地震が数回起きてもおかしくない、という事になると思われます。まぁ大雑把な解析ですので、厳密な話はできませんが、これからもしばらくは大きな地震に注意した方が良さそうです。

2011年3月28日月曜日

放射性物質汚染地域の広がりの数理的考察

福島原発の事故で大気中に放射性物質が放出された。最初は大気中の放射線量が問題になっていたけど、野菜や牛乳などの食物から基準値を超える放射線量が検出され、同様に水道水からも検出されて、汚染に関するステージは第二段階に入ってきた感じだ。次の段階は、果たして日本はどれだけ汚染されたのか?、という事だろう。普通に考えると、放射性物質の放出源(ソース)である福島第一原子力発電所からの距離が問題で、その濃度はソースからの距離に反比例(拡散方程式の解で言うとexp(-x^2)、xはソースからの距離)して減少すると考えがちだが、実はそれが一般に当てはまるかというとNOなのである。拡散は、例えば水を張ったタライに墨汁を一滴たらすと、それが時間と共に拡がっていくような現象だ。しかし、おおよその放射性物質の拡散の様子は拡散方程式を今回の場合に当てはめて解いてみてもわかるかもしれない。
さて、ここで出てきた物質など(熱なんかもそうなので)の”拡散”のダイナミクスは、一般に拡散方程式という方程式で記述できる。実際にはかなり簡単な場合に限るのだけど、この簡単な方程式でさえ、解析解を求めるのは意外と難しいので、もっと複雑な現象だと現状では数値シミュレーション以外で解を求めるのはほぼ不可能だと言ってよい。
実際に拡散方程式がどのようなものかは、wipipediaの拡散方程式のページなどを参考にしてもらいたい。この方程式を試しに今回の福島原発の事故を想定して解いてみた。正直、あまり科学的には意味のないことなのだけど、自分は今回の数値計算のプログラムを作成して必要なシミュレーションを行うのに徹夜で作業してしまった。少しでも興味を持ってもらえれば良いのですが。
さて、拡散方程式を解く際に一つ重要なパラメータがある。それが”拡散係数”と呼ばれる物質の拡散の具合を表す量で、その値が大きいほど物質の拡散のスピードが速いと考えられる。さて、今回福島原発で放出された放射性物質の拡散係数はいかほどだろう?この拡散係数自体はいろいろな計算方法があり、例えばランダムウォーク理論からも導出可能なのだが、大気ほどのスケールで導出する方法が思い浮かばなかった。というのも、基本的にこの拡散係数は、瓶に閉じ込められたある気体分子の運動などを論じるときに使われるので、仮定している条件が大気のような乱流とか風のような局所的流れを考慮していないのだ。いろいろ考えたのだけど、今回は風速の値からおおよその値を仮定して使うことにした。拡散係数の次元は[距離][距離]/[時間]というものなので、物理量として解釈すると「単位時間あたりにどの程度物質が拡がるか」というようなものだと考えられる。その点、放射性物質は平均的な風の速度で運ばれるので、オーダーとしてはそれほど間違っていないだろう。という事で、今回は4.0m/secという風速から拡散係数を導出した。ちなみに数値計算で用いた長さや時間の単位は、長さが100m、時間は1時間である。
実際の計算だが、2通りのケースについて計算してみた。ひとつめは、福島原発からの放射性物質の放出が1度だけだった場合。2つ目は今回のケースに合わせたのだが、それぞれ放出された(爆発が起きた)初日に加えて、その2日後、4日後、6日後にも放射性物質が放出されたとした場合である。放出量に関しては正確な料が不明なので、一度につき100という数値だけ放出されたとした。

さて以下がその計算結果。まず最初のものが、放出が3/12日の爆発のみだった場合。

横軸は福島原発からの距離(km)で、縦軸はその地点における放射性物質の大気中の量。距離がマイナスなのは北と南みたいな事だと考えてください(同心円状に拡がるので)。これを見ると、1日も経つと放射性物質の量は放出された量(100)の1%程度に減ることがわかります。それでは今度は3/12だけではなく、2,4,6日後にも放出されるとどうなるか?

この計算結果を見ると、放出が一度だけの場合と比べて1週間経っても50km程度の区域内だとまだまだ高濃度に放射性物質が存在していることがわかります。さて、次はそれぞれの場合について、福島原発からの距離が0km、10km、20km、40km、60km、80km、160km、200km、300kmの地点での放射線濃度が時間と共にどのように変化するのかを計算したグラフです。さて最初は、爆発での放出が一度だけだった場合。


横軸が3/12日からの経過日数で、線の色で福島原発からの何キロ離れた地点での数値か区別しています。例えば緑色の線は、原発から10km離れた地点での放射線量の変化を表しています。100km地点より距離の離れた部分は線の色での区別が難しいですが、数値の高いもの程距離が近いと思ってOKです。次に放出が数日おきに起きた場合。

この計算では見ると明らかなように、合計4回の放射線の放出が起きています。合計4回なので合計で400という数値になります。今回の計算ではその1とその2で合計放出量が異なっているので直接比較が難しいですが、200km離れた地点でも3週間程たってもまだ放射線量が1ほど存在していることがわかります。この数値は相対値なので、仮に今回の原発の事故での放出放射線量が1000ミリシーベルトとすると、数値1は2.5ミリシーベルトに相当すると思われます(シーベルトは実際は拡散する量ではありませんが。大雑把に)。
この数値の解釈ですが、3週間で2.5ミリシーベルトの積算と考えると、時間単位にするとおおよそ5マイクロシーベルト毎時、という数値が出てきます。東京都内でも測定されているのは0.2マイクロシーベルト毎時程度ですので、1000ミリシーベルトの放出はかなり大きな見積もりだと思われます。でも割とオーダー的には悪くない計算のような気がします。

ちょっと長くなったので、今回はこの辺で。次あと2回ほど続く予定。
予定:今回の計算で放出量をトータル400じゃなく、4回でトータル100にした場合の結果。それから、160キロより遠い部分の詳細なデータ。チェルノブイリの時との比較。

2011年3月22日火曜日

食物からの健康影響に関する情報

参考図書として良いものが手元にありましたので、ご紹介。
畝山千恵子著「本当の食の安全を考える」

基準値の考え方や、規制科学とピュアな科学の違い、それから実際にどれだけ
食物からの健康影響があるのか解説されています。放射線ではなく、主に残留農薬などに
ついてですけど、基本的な考え方は同じだと思います。
知らないことばかりで自分も勉強になりました。

余震回数についての注釈

10日後の余震回数が日に8.4回と予測してみましたが、書き忘れましたがこれは震度3以上の地震についてです。なぜなら気象庁が公開しているデータが震度3以上のものだけですので。

2011年3月21日月曜日

基準値超えの野菜と今後の展開

福島原発の放射能漏れで福島、茨城、栃木などの野菜から国の基準値を超える
量の放射線が検出されたとのこと。それで社会的にかなり不安が広まっているようだ。
たしかに「基準値超え」というと意味もわからず体に悪影響?と不安になるけど、
そもそもこの基準値の設定を考えてみたほうが良いと思う。この基準値、政府発表で「人体に影響なし」と発表があるほど低いレベルだ。なぜそんな数値が基準値なのか?というと、これまた政治的な理由があるのだろう。あと、国内では今回のようにキチンとモニターしているし、日本はこういう点とても安心感がある。しかし国外の食べ物に関してはどうだろう?国外からそういったモニターに関して「信頼のおけない」食べ物がどんどん輸入される可能性を考えると、基準値は小さめにしておきたくなると思う。理由ははっきりしていて、非常に信頼できない対象であるし、全数検査しているわけではないから統計的にフィルターするには基準値を小さめにすることが重要なのだ。

さて、今回の報道を見て思い出したエピソードがあります。統計関係の会議で北京に行ったときのこと、当時、中国の野菜や食べ物、飲料水の汚染がかなり話題になっており、自分は食べ物は野菜、果物はあまり食べないようにしよう、飲み物は水道じゃなくビールとかパックされたものにしよう、などと密かに考えていたのです。出発前に知人に、中国で腹を壊さなかった事は今まで一度もなかった、などと脅された為でもあるのですが。
会議中に中国の研究者の方に接待を受ける機会があったのですが、その時隣に座っていたのが食べ物の汚染と人体影響などに詳しい研究者の方で、少々不安だった自分はその場で正直に自分の胸の内を明かしたのでした。
そうしたら、思いっきり笑われて説明を受けたのが、仮に汚染されていてもこの程度の量なら毎日1年間食べても影響は確率的にしか言えず、無いと考えて問題ないという事。数値も聞いたので、数字で理解する自分はすぐに納得して、急に安心しておいしい中華料理を満喫できたのでした。
さて、その場で食べた中華料理の美味しかったこと!不安や疑いの目で見ていたときには毒野菜にしか見えなかったけど、不安がなくなってそのおいしさを満喫できてとっても良かったです。日本でも中華料理は大好きで中華街にもよく行ってましたが、やっぱり本場の料理は全然違いました。日本では食べたことのないようなものをいろいろ味わえて、また是非行きたいと思いました。
でも、北京の大気汚染だけは洒落にならないくらい酷かったのを覚えていますけど。

出荷停止など農家の人には打撃だと思いますけど、社会的な不安を考えたら仕方が無いでしょう。今後ですが、今は牛乳や水道水、葉物の野菜など主に付着が問題になる種類のものですが、今後は土壌から放射性物質を吸い上げて育つ種類の穀物や野菜、それから食物連鎖の上位にいる魚介類などの汚染が問題になってくると思います。これらに対するモニタリングももちろん行っていると思うけど、その点は日本や日本人の資質からいって手抜きやいいかげんなモニターはないだろうと思えるのは少し安心ですけど。

あと、今後出てくるのは「被曝した」といって健康影響を訴える人たちでしょう。福島原発近郊はともかく、間違いなく東京都内の住民からもそういう訴えが出てくると思う。原因と結果を短略的に結び付けたがる人たちも多いし、心理的なものもあるだろう。人が健康でいるには、必要以上に不安を抱え込んでストレス因子を貯めこまない事だ。ストレスは人を殺すし、腫瘍も作るしろくなことはないのである。
それに、今回のような危機的状況は人間の資質に対する一種の踏み絵になったと個人的に考えている。
普段は自分の事を大きな人間であると見せかけながら、今回は必要以上にパニックになった人、関東は危険だから逃げろ!などと煽った人(しかしそういう人に限って自分は逃げない。要するに自分ひとりだけじゃ不安だから、周りも道連れにしたいだけ)、そういう人は信頼するに値しないとはっきり判明したと思う。シーベルトとか初めて聞いた言葉なのに、その背景もよく知らないで適当な計算をして不安を煽っているT教授みたいな人もいる。まさにバカの極みだとしか言えないだろう。

2011年3月18日金曜日

東北関東大震災の余震の統計(続き)

昨日の続きです。
地震の数理モデルですが、せっかくなのでもう一つご紹介。BKモデルよりも簡単だけど、ちょっと抽象的。
碁の盤面ののような格子を想像してください。そこにそれぞれの格子と同じ一辺の長さを持つサイコロ状のものをランダムに落としていきます。落ちる場所はきちんと碁盤の目の上です。
この作業をどんどん続けていくと、碁盤の場所によって、積み上がった高さが異なっていきます。
ランダムですが、場所によっては高く積み上がる場所が出来てくると思います。ちょっと簡単な図を書いてみましたが、図の赤の濃い部分が積み上がった物体の高さの高い場所だと思ってください。こんな具合に空間的に非一様な分布が出来てきます。

さて、ここで積み上がった物体に関してあるルールを導入します。それは「なだれ」が生じるというルールです。ある場所の高さが、周りの高さよりもある一定の値だけ高くなった場合(砂山が積み上がって傾斜が急になるイメージ)、なだれが生じるとします。なだれは高さの差が周囲と比べてある一定の値(しきい値)を越えた方向に起きるとします。まさに砂山が崩れるイメージです。なだれが起きると、崩れた先の高さが高くなるので、そこでも連鎖的になだれが起きる場合があります。
先に載せた図のように、空間的に非一様な構造を取るので、場所によってなだれの大きさが異なります。一度に加えるサイコロ状のものの数は一定ですが、時と場合によって生じる「なだれ」の規模が異なります。
地震とのアナロジーでいうと、このなだれが地震でその規模がマグニチュードだと思ってもらえればOKです。このようなモデルが一般にSand-pile modelとか論文の著者名を取ってBTWモデルとか言います。
このモデルでもなだれの大きさと頻度に関して地震と似たような統計則が見られることが分かっています。
ランダムにサイコロ状のものを碁盤の目に加えていく作業は、ホワイトノイズを系に加えるという意味なのですが、考えるシステムからスケール不変な統計性が現れるというのがとても面白いです。
このモデルも計算は簡単ですが、解析するのは結構難しいです。興味を持たれた方は、wipipediaなどを見ると参考になると思います。

さて、今回の東北関東大震災の余震についてですが、発生から1週間経ってその頻度がどのように変化してきたか計算してみました。そのグラフが下のものです。


横軸が発生からの日数で縦軸が8時間ごとの余震の数(頻度)です。機能説明した大森の公式から計算した曲線を重ね書きしていますが、おおよそ公式通りに減少していることがわかります。プロットした曲線の関数は昨日の式でK=30,c=0.5,p=1としたものです。これで見ると、来週の頭くらい(地震発生から10日後)には1日あたりの余震の回数は、8.4回位になると予想されます。グラフを見ると余震はどんどん収まってきていますから、ひとまず地震に関しては安心しても良さそうですね。
#初出で来週頭の予想余震回数を2.8にしていましたが、8時間あたりなので3倍した値に訂正

ブログの題名変えました

なんか大倉キャプテンのブログと被ってるような気がしましたので。。
前の題名は20年くらい前に書いたとあるモノからだったのです、実は。

地震について

今回の地震ですけど、余震がかなりすごいです。
で、せっかくなので地震について知られていることをちょっと書いてみようかと。
地震のメカニズムですが、よく言われているようにプレートとか断層とかがずれるって言われています。
でも実は、地面の中の構造はよくわからないので、確実な理論があるわけではないです(個人的見解だけど)。
そのような中、地震の数学的モデルとしてよく知られているものにstick-slipモデルというのがあります。
これは簡単に言うと、バネの付いたブロックがある摩擦を持ったプレートの上に置かれたようなものです。
このバネとブロックをたくさん連結させたものが地震での地面の動きのモデルとしてよく使われています。


ブロックにバネから力が加わった場合、ある一定の力以上でブロックが滑ります。その滑りはバネを通じて隣のブロックに力として作用します。これが2次元平面上に並んだものを考えると、あるブロックに力が加わる=プレート、断層に局所的に力が加わる、でその力が大きいと滑ってその歪みを周りのブロックに伝えます。
例えばあるブロックが滑ると、滑った向きのバネは縮むので、そちらの方向のブロックを押しますが、逆向きのブロックはそちらの方向のバネが伸びるので引っ張ることになります。
さて、高校で習ったと思いますが、摩擦というものには静止摩擦と動摩擦の2つが存在し、静止摩擦は動摩擦よりも大きいので、物体に力を加えた場合動き出すまでは「重い」けれど、動いている間は少し軽くなるという事がわかります。ある部分のブロックが動くと、その周りのバネの伸び縮みとして「歪み」が空間的に伝播しますが、その歪みによる力が静止摩擦よりも小さい場合、となりのブロックは動きません。単に「歪み」が空間的に「蓄積」されたわけです。

さてここで問題。2次元平面上にバネでつながれたブロックを並べて、それぞれのブロックにランダムに歪を加えておきます(どの程度の量かは知ることができないとする)。
その状態で、ランダムにブロックを選んで、少しだけ力を加えた場合、ブロック全体の動きはどうなるでしょう?ランダムに力を加える作業をどんどん続けていくと、部分的に歪みの蓄積が大きいところなどが出てくると思います。ランダムに力を加える作業で、たまたまその場所が選ばれたとするとそのブロックはずれて動くはずです。これがこのモデルでいうところの「地震」です。
この数学的モデル、一般にBurridge-Knopoff Modelと言われます、は非常に簡単な微分方程式で記述できますが、解に関してはカオスが現れること、予測不可能であることが知られています。自由度の数によりますが、現在販売されているPCでも充分にシミュレーション可能であると思います。

さて、地震に関する数学的モデルは今述べたようなBKモデルが存在しますが、他に観測から発見された地震に関する統計法則がいくつか存在します。まず一つ目は、いわゆるグーテンベルグリヒター則、と言うもので、地震の頻度(N)とマグニチュード(M)の関係を記述した経験則で、定数a,bを用いて
logN=a-bM
と記述できます。これの意味するところは、地震の大きさと頻度に関して「スケール不変性」を持つ、ということです。グラフに書くとわかりやすいですが、地震には起きやすい大きさのものは存在しない、つまり特徴的な地震の大きさというのは存在しないということです。いわゆるべき乗則に乗っているのですが、地震に関しては1/f的な統計を持つということです。良く知られた言葉で言うとフラクタル構造、と言っても良いです(フラクタルも1/fも同じべき乗則なのですが、空間に関するものをフラクタル、時間に関するものを1/fといいます)。この法則は、先に述べたBKモデルで再現できることが知られています。

もう一つ有名な地震に関する経験則は、地震発生後の時間(t)と余震の頻度(N)に関する大森の公式でしょう。
N(t)=K/(t+c)^p
Kやc、pはパラメータです。p=1とすると分かりやすいですが、余震の頻度は時間に逆比例して減少していきます。
さて、今回の地震ですが、これら統計則に合っているのでしょうか?
ちなみに地震発生後からの時間と余震の大きさ(マグニチュード)をグラフに書いてみました。
横軸が日付で、縦軸が起きた地震のマグニチュードです。


このデータは気象庁のページから取ってきて、スクリプトを作成してグラフ化したものです。
震源に関するデータもあるのですが、ここに出したものは今回の東北関東大震災由来以外のものに関して削除していません(かなり数は少ないです)。見た感じ、大きな余震が少なくなって、余震の数じたいも時間が経つにつれ減っているように見えます。
今日は遅くなったので、また明日にでも頻度分布のグラフを作成してみようと思います。

余談ですが、この地震に関するBKモデル、ストックマーケットなどの動きと似ていると言われたりします。
各ブロックをマーケットの参加者とすると、そのポジションが動くことによって他の人に影響を与え、ストレスが大きいとパニックを起こして大きく動くので、そのパニックが周りに伝播してマーケットのコラプスを生じる、といった感じです(ちょっと不正確ですが。。)。

2011年2月24日木曜日

2011年

今年はなんだかすごい年になりそうだ。
世界中で噴火や地震が起きているし(日本の新燃岳、NZ地震、アメリカのイエローストーン国立公園)
穀物、原油の価格はどんどん上がっているし、中東だけではなくインドとか中国でもデモが起こり始めている。
コモディティ関係の高騰に関しては、ここしばらくの穀物の暴落を見ると、需給要因というよりやはり投機マネーのせいというのがわかるけど、やっぱりこれってアメリカをはじめとする先進国の金融緩和政策の副作用なんだろうな。
でも地震とか噴火みたいな自然現象に関しては、少なくとも投機マネーは関係ないと思うので、自然災害とマネーの流れが妙な具合にシンクロして、ちょっと嫌な感じだ。
自分たちはいま歴史の大きな転換点に立ち会っているのかもしれないですね。

しかし中東のデモを見ていると、やはり老害という言葉が頭に浮かびます。エジプトのムバラクもリビアのカダフィも、自分の息子を世襲的に高い地位に据えているし。
カダフィの「自分は革命者であって、、」という演説には呆れてしまいますね。チャウシエスクと同じような最後を遂げそうだ。

そんな自分はアメリカで起こったサブプライムローン(結局不良債権だよね)を基点とするリーマンショックに続く世界的な第2段の経済危機がヨーロッパと中国周辺から今年起きるんじゃないだろうか?なんて考えているのだけどどうだろう?特にここしばらくのVIX指数の動きから、大きなコラプスが生じそうな予感。

2011年2月14日月曜日

続 facebook

うーむ、学歴とか職場とか入力しなくても良いみたいですね~。
でも本名で登録は必須か。それはそれで良いと思うけど。
でも本名で登録したら、学校とか職場とか入力しておかないとあんまり意味ないですね。
しばらく使ってみるけど、これ必要な人ってビジネスやってる人って気もするけど
アメリカじゃ国民の半分が使ってるっていうし(本当かなぁ?)。

2011年2月1日火曜日

大学院の徒弟制度廃止だって

一部のニュースで流れていましたが、文科省の中央教育審議会が、大学院博士課程での徒弟制度(院生が一人の教員に師事する制度)や5年間の博士課程での修士論文の廃止、などの大学院教育改革策を答申したそうだ。
徒弟制度の廃止、って何だろう?って思ったけど、博士課程の院生が1つの研究室に属して1人の教員から指導を受ける現行制度からの転換、だそうで、複数の教員、研究室で指導を受けるようになるらしい。
要するに、狭く深くではなく広く浅くってこと?
修士論文を無くすっていうのも、どうやら課程の途中で専門を限定するようなテーマを与えない、っていうのが目的にあるみたいだ。

うーむ、ようするに博士と言ってもなにか専門分野に深い知識をもつ人材ではなく、特に専門を設けずに広く(でも相対的に浅くなるけど)知識をもつ人材を育成しようということか。
これ誰が言い出したのかわからないけど、正直ここまで学生を信じて良いものだろうかって気がする。
指導教官をひとりに絞らないということは、逆に教員の側から見たらその学生に何の責任も負わなくて良いっていう、つまり自分の研究室の学生というより自分の講義を聴きに来ている一学生というスタンスで接すれば良いということで、学生の側が相当賢いとか知識がないと、中途半端な何もできない博士様の出来上がり、になるような気がするのだけど。正直、文系の学問は深みなんて全くないから(暴言失礼)それで良いのかもしれないけど、理系の学生だったらこれではだめなんじゃないの?
近くにある研究室いくつかに所属するといった場合、自分の過去をちょっと思い出してみると、
例えば有機化学、細胞生物学、磁性理論、情報理論、なんて研究室があってそれを掛け持ちなんてしても意味ある知識が身につくとは思えないけどなぁ。
もう少し分野が近いとしても、高エネルギー物理学、流体力学、格子理論、スピングラス、なんて研究室に所属して一体何の研究をするのだろう?そもそも理系の場合、同じような分野の研究をしている研究者が同じ大学に一体何人いることやら。自分の研究分野だと同じ大学に2人いればかなり珍しい位だ。
学生のうちにいろいろな分野のお勉強をするのには大賛成だけど、研究室まで分散して所属なんて馬鹿なことはしないほうが絶対に良いと思う。
自分は割と自分の専門分野以外の知識もあるほうだと思うけど、そういう知識はちゃんと自分の専門分野の研究室に所属した上で、学部や学科共通の喫茶室みたいな共同の部屋や麻雀部屋みたいな部屋に学生同士で集まった時にいろいろ雑談をしたり、論文を教えてもらったりして覚えたのだ。サイエンスに関しては、まず誰にも負けない自分だけの専門分野というのを構築した上で他の分野の知識を深めていかないといけないと思うのだけど。他人に負けない自分だけの専門分野を持たない博士様なんて、広く浅く知識のある池上彰氏みたいな物知りでしかないと思うなぁ。TVに出たりするならそれで良いのだろうけど、少なくともプロの研究者とは呼べないと思うが。

それよりも日本の大学や大学院に必要なのはプレゼンテーションのレクチャーとか、論文とか文章のスタイルのレクチャーのような気もする。それに何といっても日本の大学/大学院の教員は教育という点で落第な人が多すぎるよね。ちゃんと真面目に学生の指導をしている人の評価が高くなかったりするから、誰も本気で学生の指導なんてしようとしない。それにタチの悪い教員はろくに指導もしないのに、自分の評価の為だけにたくさんの学生を自分の研究室に取ってろくに指導もしないで適当に単位を与えて卒業/修了させているし。こういうある意味「テキトー」な指導を無くすためにも、教員の評価を研究室の卒業生の評価で決めるのが良いと思う。優秀な卒業生を輩出している研究室の教官にはもっと良い評価を与えるべきだし、カスカスな学生しか輩出していない研究室は潰しても良いと思うけど。

まぁ実際に酷い教員が居るっていうことは大抵の人が知っていると思うけど、教育に関しての評価が現状かなり不公平だと思うので、徒弟制度の廃止なんて戯けた事を言う前にもっと根本的なところを変えていくべきだろう。

マラソン

最近はランニングの練習にハマっていて、ようやく調子も上がっていきたところ。
なんでもそうだけど、きちんとやって峠を越えないと上達しないと思う。
そんな訳で今年もあっという間に1ヶ月が過ぎてしまった。

2011年の初めは新興国は株式も下がってイマイチでしたが、ダウと日経は割と良かった感じ。自分も結構なプラスになりました。ちなみに米株は一銘柄を除いて全部売却しました。日経も結構売ってしまいました。本当はもっと現金化したいのですけど、一部の塩漬け銘柄がどうしようもなく。。
為替に関しては、新年度に入って少し儲けましたが、ユーロドルとドル円の調子が悪く、含み損を抱えている状態です。

中東の様子も危ないですし、2月は相場も大きく動きそうな感じですね~。今月も頑張って行きたいところ。

2011年1月30日日曜日

Facebook

映画も観たし、どんなものだろうと興味はあったのだけど、本名で登録して学歴なんかもさらけ出すシステムだというから、ちょっと敬遠していました。しかし、とある事情(気になるバンドがmyspaceにページ持ってて、アカウント作らないと見れなかった、、)でfacebookにアカウントを作ってみました。
まぁ本名で登録したりするのは良しとしても、高校から現在の勤務先までばっちり書かなきゃいけない訳?
てっきりアカウント制御で公開範囲を選択できると思っていたけど、どうやら学歴や勤務先情報は誰にでもオープンの様子。
とりあえず嘘を書くのは嫌だから真面目に書いたけど、、完全に個人のCVですね。

これってソーシャルネットといっても、階級社会ネットワークっていう感じなのね、と納得しました。自分の職場や住んでる街は高学歴な人が多いし、年収も平均より高い人達ばかりだから、実生活で同じような社会的ステータス(学歴、年収、職業)の人たちの社会で過ごすのはとても快適だというのは重々承知しているのですけど、じゃあ例えば自分の職場の人が面白い人ばかりか?といえば全く逆で、実につまらない人ばかりです。あまり言いたくないけど、研究者の中には研究者っていう職業に就いている事に対して、ものすごい選民意識を持った人が結構います。そういうのは世間話をしているとすごくわかります。端的に言うと、研究者じゃない人たちを馬鹿にしたような物言いをするのですけど、それは話を聞いているおいらも同じ研究者だから同じ考えなんだろう、という安心感を持って話しているとしか思えません。でもそういう人たちは、普通のサラリーマンなどをしている自分の子どもの同級生の親などにはそういった選民意識は決して見せないし、逆に日本人的に謙遜までしていると思われます。特に夫婦で研究者なんていうパターンが最悪です。

世間的には研究職についている、というと頭が良い、なんて思われると思いますが(本音はともかく、大体の人が頭がよいんですね~、なんて言ってきますね)、実際研究で飯を食っている人間といっても、全員が賢くて素晴らしい仕事をしているわけじゃあありません。
俺流良い仕事の基準を書いておくと、ずばりオリジナリティと質の高さです。あるテーマがあってそれを研究している人がいるとした場合、他の研究者にその仕事が可能かどうかがawesomeかどうかの最初の基準です。誰にでもできる研究は、言ってみればドリル問題を解くのと同じだと思います。
研究のテーマや着眼点に対する評価の次が進め方というか料理の仕方です。こちらは少々テクニカルな部分も占めますが、正直この2点において及第点を与えられる研究者は本当に少ないです。特に最近は他人と同じことをやってせこせこ業績を上げないといけない風潮があるので、研究環境としては日本はダメダメになってきていると思いますが。

話が脱線してしまいましたがfacebookの件に戻ると、要するに経歴でネットでも知り合う人間を選別しよう、という、要するにハーバードの学生が三流大じゃなくて一流の大学の学生とお付き合いしたり結婚したいよね、っていう願望を見事に満たすためのツールなんだなぁ、って思いました。でも実生活で友達付き合いしていて楽しいのは決して高学歴な人たちではないですね~。
facebookみたいなので階級社会ごとに友達を作って、本当に楽しい友人ができるんだろうか?なんだか自分は疑問です。

2011年1月11日火曜日

アウトロー宣言

気がつくと年も明けてはや2週間近くたってしまいました。
明けましておめでとうございます。
今年の自分はどんな感じなのだろう?去年に関して振り返ってみると、、

・スポーツ関係
検定もいくつか合格。スイムは自己ベストも出せたけど、トライアスロンは
自己ベスト更新ならず。ランのタイムが全然ダメでした。

・仕事関係
とりあえず、年度の頭に予定したノルマは達成したけど、自分的にはもの足りず。
年度内に論文をもう2つ書きたいのだけど、どうだろう?年末に自分が書いたとある解説が載った雑誌が出版されたけど、その反響がちょっとだけ楽しみ。

・投資関係
自分の場合、投資もお金儲けのためというより、実は非平衡系の研究対象としての側面が大きいんだけど、研究対象としてはいまだ進まず。自分の得意なのは、対象となる系をモデル化してそこからユニバーサリティを抽出する、という流れなのだけど、今だに良い(good)モデルが思いつかない。でも間違いなく市場はランダムウォークではありませんですね。
で実際のパフォーマンスですが、株式、FX共にプラスでした。株式に関してはGWに旅行に行って取引できなかったのが痛かった。そこでうまくやれていれば、パフォーマンスもそれほど悪くなかったです。

・その他
家の中の不要物を整理して、使っていない部屋があるのでそこを片付けて仕事部屋にしたいのだけど、片付けが全然できず。不用品の処分という観点では、50%達成。今年は寝室とリビングの模様替えをして、不用品もどんどん処分したいです。

さてさて、今回の題名の「アウトロー宣言」ですが、先日見た映画「ロビンフッド」の影響です。
群れて飼いならされ隷属したシチズンであるより自由であるアウトローを選んでいきたい、という意思表明なり。もちろん悪いことをするという意味ではございませんw