2011年4月12日火曜日

今後の余震に関する解析

東日本大震災から一ヶ月が過ぎたが、ここに来て最大の余震なども発生し、まだまだ緊張を強いられるということを実感させられる今日この頃だが、果たしてこの余震は今後どのように推移するのだろう?
以前、当ブログにて地震の数理的なモデルに関して記述しましたが、その中に書いてあります「グーテンベルグリヒター則」と「大森の公式」で簡単に解析をする事ができます。それぞれの説明はそれを読んでもらうことにして、今回は気象庁のホームページから震度1以上を観測した地震に関するデータを取り出して、それを使って解析してみようと思います。以下、厳密にはおかしな所もあると思いますが、おおざっぱな傾向が分かればよい、位のものですのでご容赦を。

さて、今回使ったデータは気象庁の発表した速報データで、3月11日14時46分のマグニチュード9.0の地震から、4月12日午前4時43分のマグニチュード4.2のものまでです。このデータには余震ではないと思われる、九州や沖縄、関西などのデータも含まれていますが、手作業でそれらを除きました。

このデータから地震のマグニチュードごとの頻度(起きた地震の回数)をプロットしたのが下の図です。

赤い線が今回作成したデータで、緑の線は気象庁が報道発表資料で公開した余震の頻度(M7.0以上が3回、M6.0以上が66回、M5.0以上が394回)をプロットしたものです。これを見ると自分が作成したデータは数が少ないのがわかります。そこで今回はこの気象庁発表の余震データをグーテンベルグリヒター則の対数式でフィットしてみました。それが下の図です。
緑色の棒グラフがグーテンベルグリヒター則から導出される地震のマグニチュードの頻度分布の関数です。横軸が地震のマグニチュード、縦軸が起きた回数です。今回はM5付近とM9でフィットするような関数を用いました。このグラフのM7〜M8付近を拡大したのが下の図です。

このグラフを見ると、M7.0辺りやM8.0辺りの頻度がグーテンベルグリヒター則から予想される回数に比べ、はるかに少ない事がわかります。グーテンベルグリヒター則は長時間経った時の統計分布ですので、まだM7.0やM8.0程度の余震の回数が足りない、つまり今度引き起こされる可能性が高い事を示していると考えられます。さて、それではこの余震は今後どのように起きるのかという予想をしてみましょう。今度は地震の余震に関する大森の公式を用います。これも以前説明しましたが、大きな地震が起きてからの経過日数と単位時間あたりの余震の回数を記述する式です。3/11からに経過日数でそれぞれの日毎の余震回数をプロットしてみると以下のようになります。

赤い棒グラフが実際のデータから作成した経過時間ごとの余震の回数で、横軸が3/11日からの経過日数、縦軸が余震の回数です。30日辺りの余震の回数が増加していますが、これは宮城沖と福島浜通りで大きな余震が起きたため、その余震の余震が生じたので全体的に観測された地震の数(震度1以上)が増えた為です。実際は観測にかからない余震もたくさん生じていると思われるので、精度の良いデータを使えばこの凸凹もなだらかになると思われます。また今回は自分の作成したデータと気象庁が公開した余震の回数のデータを比較したところ、データの数が実際のデータの半分ほどしかないことがわかったので、大森の公式でデータをフィットする際にそれぞれ頻度を2倍にして計算しました。このデータから導出された大森の公式は、おおざっぱに書くと、400/(t-1)になります(tは初日からの経過日数)。この式からわかるのは、今回M9.0を起点とする余震の回数が一日あたり1回以下になるにはおよそ400日必要ということです。現在30日ほど経過したので、あと1年ほどは毎日余震が続くと考えても良いことになります。

以上から今後の余震活動について推論すると、余震はあと1年ほど続き、M7-M8クラスの地震が数回起きてもおかしくない、という事になると思われます。まぁ大雑把な解析ですので、厳密な話はできませんが、これからもしばらくは大きな地震に注意した方が良さそうです。

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