地震の数理モデルですが、せっかくなのでもう一つご紹介。BKモデルよりも簡単だけど、ちょっと抽象的。
碁の盤面ののような格子を想像してください。そこにそれぞれの格子と同じ一辺の長さを持つサイコロ状のものをランダムに落としていきます。落ちる場所はきちんと碁盤の目の上です。
この作業をどんどん続けていくと、碁盤の場所によって、積み上がった高さが異なっていきます。
ランダムですが、場所によっては高く積み上がる場所が出来てくると思います。ちょっと簡単な図を書いてみましたが、図の赤の濃い部分が積み上がった物体の高さの高い場所だと思ってください。こんな具合に空間的に非一様な分布が出来てきます。
さて、ここで積み上がった物体に関してあるルールを導入します。それは「なだれ」が生じるというルールです。ある場所の高さが、周りの高さよりもある一定の値だけ高くなった場合(砂山が積み上がって傾斜が急になるイメージ)、なだれが生じるとします。なだれは高さの差が周囲と比べてある一定の値(しきい値)を越えた方向に起きるとします。まさに砂山が崩れるイメージです。なだれが起きると、崩れた先の高さが高くなるので、そこでも連鎖的になだれが起きる場合があります。
先に載せた図のように、空間的に非一様な構造を取るので、場所によってなだれの大きさが異なります。一度に加えるサイコロ状のものの数は一定ですが、時と場合によって生じる「なだれ」の規模が異なります。
地震とのアナロジーでいうと、このなだれが地震でその規模がマグニチュードだと思ってもらえればOKです。このようなモデルが一般にSand-pile modelとか論文の著者名を取ってBTWモデルとか言います。
このモデルでもなだれの大きさと頻度に関して地震と似たような統計則が見られることが分かっています。
ランダムにサイコロ状のものを碁盤の目に加えていく作業は、ホワイトノイズを系に加えるという意味なのですが、考えるシステムからスケール不変な統計性が現れるというのがとても面白いです。
このモデルも計算は簡単ですが、解析するのは結構難しいです。興味を持たれた方は、wipipediaなどを見ると参考になると思います。
さて、今回の東北関東大震災の余震についてですが、発生から1週間経ってその頻度がどのように変化してきたか計算してみました。そのグラフが下のものです。
横軸が発生からの日数で縦軸が8時間ごとの余震の数(頻度)です。機能説明した大森の公式から計算した曲線を重ね書きしていますが、おおよそ公式通りに減少していることがわかります。プロットした曲線の関数は昨日の式でK=30,c=0.5,p=1としたものです。これで見ると、来週の頭くらい(地震発生から10日後)には1日あたりの余震の回数は、8.4回位になると予想されます。グラフを見ると余震はどんどん収まってきていますから、ひとまず地震に関しては安心しても良さそうですね。
#初出で来週頭の予想余震回数を2.8にしていましたが、8時間あたりなので3倍した値に訂正
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